コラム②『歴史を変えた一局』
日々、目にするこの関西棋院HPも、この一局に負けていたら存在しなかったかもしれません。
昭和26年5月31日。橋本宇太郎本因坊は、挑戦者の坂田栄男七段に1勝3敗とカド番に追い込まれていました。
これはただのタイトル戦ではなく、独立して間もない関西棋院の運命を懸けた一戦として注目されていました。
当時は、日本棋院が唯一の囲碁プロ組織として新聞社とスポンサー契約を結び、タイトル戦を展開中。
半年前に独立したばかりの関西棋院にとっては、続けてタイトル戦に参加ができるかどうかの瀬戸際でした。
日本棋院としても、本因坊位を保持している関西棋院の橋本宇太郎九段を不参加にするわけにもいかない状況でしたが、この一戦で橋本宇太郎九段が本因坊位を失うと、関西棋院棋士の次期参加が認められない可能性が高い状況でした。
関西棋院にとっては、正に組織の存続が懸かった一戦であったと言えるでしょう。
そしてこの一局に勝った橋本宇太郎本因坊は、続く第6、7局を連勝し、見事に本因坊位を死守。
そのおかげで、関西棋院の次期本因坊戦参加も継続となり、独立後の関西棋院が安定する時を稼ぐことができました。
もしも、この一局に橋本宇太郎九段が敗れていると、関西囲碁界は今とは違った形になっていたでしょう。
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2017年5月4日